恥骨部にしこりが出来た時とは?
ここでは、「恥骨部にしこりが出来た時」
についてお話します。
恥骨部にしこりのようなものが
ポコっと出てきて、重いものを
持ち上げたときやお腹に力を
入れたときなどに出たり
引っ込んだりすることがあります。
なんとなく気になるものの、
痛みも無いし、そのままに
してしまっていませんか?
その症状、もしかしたら
「鼠径ヘルニア」
かもしれません。
鼠径ヘルニアとは?
鼠径ヘルニアとは、いわゆる
「脱腸」
のことです。
子供に多いイメージがありますが、
実は大人の方がずっと多い病気なんです。
それ故に恥ずかしがって
治療が遅れてしまうことがありますが、
放置すると重症化することも
あるので注意が必要です。
最初は鼠径部と呼ばれる
太もものつけ根から恥骨部辺りに
ポコっとしこりのような
膨らみが出現します。
実はこれ、内臓を保護する
腹膜や腸の一部が飛び出して
きたものなんです。
大きさはごく小さいものから
ピンポン球や卵くらいのものまであり、
人それぞれです。
ただ、押したり体勢を変えたりする
と引っ込んでしまうので、
なんとなく気になりつつも
放置してしまう人が多くいます。
そうすると徐々に大きさも
膨らんできたり、引きつるような
痛みが生じてくることもあります。
そしてさらに放置すると
「嵌頓(かんとん)」
という状態になります。
すると、もはや手で押しても
引っ込まなくなって
歩けないほどの痛みを感じます。
ここまでくると飛び出した腸が
詰まって腸閉塞になったり、
腹膜炎を起こしたりして
命に関わるほど危険な状態ですので、
初期の段階ですぐに
病院を受診することが大切です。
なぜ鼠径ヘルニアになるの?
本来、身体の中にあるはずの
腸や腹膜がなぜ飛び出してくるのか
というと、主な原因は加齢などによって
内臓を支えている筋膜や
筋肉が衰えてしまうことにあります。
鼠径部には鼠径管という筒状の管が
筋膜を貫くように通っていますが、
ここが加齢により筋膜が弱くなると
鼠径管や周辺の筋肉層に
すき間が発生します。
このような状態でお腹に力を入れて
腹圧がかかると腸や腹膜が飛び出して、
鼠径ヘルニアとなってしまうのです。
鼠径ヘルニアはできた場所に
よって3つのタイプに分けられます。
鼠径管のすき間にできる
「外鼠径ヘルニア」
と、筋肉層のすき間から出る
「内鼠径ヘルニア」、
大腿管から出る
「大腿ヘルニア」
です。
これらは全て場所が違うだけで
同じ原因とされています。
改善方法や治療方法
鼠径ヘルニアの主な
治療方法は手術になります。
基本的には薬で治すことは出来ず、
ヘルニアバンドやサポーターなどの
外側から抑えるタイプのものも
一時しのぎの方法にすぎません。
手術については様々な方法がありますが、
主に行われているものは緩んできた
すき間にメッシュのプラグやシート
といった人工の補強材を入れて
飛び出してこないように抑える方法です。
この方法ですと、局所麻酔で
負担も少なくできます。
鼠径ヘルニアが悪化して
しまった場合は切除手術が
必要なこともあります。
手術方法は患者の状態や症状により
人それぞれですので、
医師とよく話し合いましょう。
また、日常的な動作や習慣を
気をつけることによって
鼠径ヘルニアの予防を
することができます。
重いものを持ったり、
便秘でいきんだり、
肥満などは鼠径ヘルニアを
引き起こす原因となってしまいます。
成人の鼠径ヘルニアは
なってしまったらなかなか
自然に治ることはありませんから、
普段から食事内容を見直して
便秘を改善したり、
肥満にならないようにカロリーを
抑えたりして日常生活の中で
意識して気をつけましょう。