恥骨骨折の治療方法とは?
ここでは、「恥骨骨折の治療方法」
についてお話します。
恥骨は骨盤をつくる骨の一つで、
体を支える重要な役目を担っています。
その恥骨が外傷や骨粗しょう症
などが原因で折れてしまうことを
恥骨骨折と言います。
恥骨骨折は骨盤骨折の一つに分類されます。
今回は恥骨骨折をした場合に
具体的にどのようにして治療するのか
ご紹介します。
恥骨骨折の治療方法とは?
恥骨骨折の治療は重症度によって
異なりますが
治療の流れは基本的には同じになります。
・恥骨骨折の初期
恥骨骨折の初期は痛みが強く、
骨もくっついていないため
姿勢が不安定になります。
まずは骨を正しい位置で
くっつけることが最優先になります。
場合によっては骨盤を外側から固定する
こともあります。
初期のうちは鎮痛剤を使いながら
痛みを緩和して、
自然に骨がくっつき始めるのを待ちます。
基本的にはベッド上安静となり、
食事や歯磨きもベッド上、
入浴はできないので全身をタオルで拭く
全身清拭になります。
初めのうちは痛みが強くトイレに行けない
場合も多いので
尿道留置カテーテル
といって尿道に管を入れて
尿を流出させる場合もあります。
レントゲンなどの検査も
歩いて行くことは困難なので
ベッドのまま検査室に行くことに
なります。
何をするにもベッド上なので
非常にストレスが溜まりますし、
安静治療は手術療法に比べて
歩けるようになるまで
時間がかかりますので
精神的に苦痛を感じる方も
多いようです。
ただ、手術をしていないので
全身麻酔による合併症や
手術創からの感染の心配がないので
その面では安心できる治療方法でもあります。
・手術をする場合
骨折が重度な場合や、
恥骨以外の骨も折れている場合、
また折れた骨は内臓や
血管を傷つけてしまった場合には
手術をする場合があります。
手術は、骨盤内にボルトを入れて
骨盤を安定させる手術があります。
出血がひどい時には
止血のための手術をします。
術後は全身麻酔の影響もあり、
無気肺や便秘、
創部の縫合不全など
さまざまな手術合併症に
注意する必要があります。
創部からの細菌感染のリスクもあるため
抗生剤などの点滴をする場合もあります。
手術をすると骨盤の安定は早く、
安静療法よりも早く歩けるようになります。
・恥骨骨折をしたら気を付けること
恥骨骨折は交通事故やスポーツ
などによる転倒、骨粗しょう症
などが関係して起こります。
そのため、事前に
予防するのはほぼ困難です。
ですが、骨折したあとにしっかりと
骨折部位をくっつけて、
今後の生活への支障を
小さくするためには
恥骨骨折後の日常生活で
いくつか気を付けなくては
いけないことがあります。
まず、カルシウムを
しっかりと摂取することです。
骨の主成分はカルシウムで、
カルシウムが不足すると
骨はスカスカで弱くなります。
また、折れた部分の
治癒も遅れてしまいます。
カルシウムの必要量の目安は
成人で600〜900mg
51歳以上で650〜700mgを
一日に摂取する必要があります。
しかし、日本人はカルシウムの
摂取量が足りないと言われています。
1日に必要な摂取量を確保するには
牛乳だけなら6杯分、絹豆腐なら
5丁分のカルシウムの摂取が必要です。
恥骨骨折をしてしまったら
食事に含まれるカルシウムの量を
意識するようにしましょう。
気を付けることの2つ目は
筋力をつけることです。
治療の初期はベッド上安静ですが、
ベッド上でできる無理のない
リハビリを行います。
それは安静にしていることで
筋力が衰え、骨折部位が治っても
筋力低下のために歩くことが
できなくなることを防ぐためです。
そして、筋肉は正しい姿勢を
維持するためにも
重要な役割を果たします。
恥骨を骨折すると骨盤は不安定になります。
その不安定な骨盤を
支える手助けをするのが
筋肉の仕事なのです。
リハビリスタッフの助言に従い
筋力を落とさないこと、
退院後にも無理のない筋力トレーニングを
継続するようにしましょう。
恥骨骨折の治療方法は様々であり、
重症度や年齢によっても異なってきます。
ですが、どのような治療方法でも
気を付ける点はだいたい同じです。
治療中はストレスが溜まりやすいので、
骨盤に負担のかからない
リラックス方法を探してみましょう。